
「モデルハウスを購入して失敗した事例はある?」
「購入前の注意点は?買って後悔しないためにどんな対策が必要?」
「モデルハウスってお得そうだけど、あとで後悔しないかな…」そんな不安を感じていませんか?
実際に購入した人の中には、「思ったより修繕費がかかった」「生活スタイルに合わなかった」といった声も少なくありません。
モデルハウスは魅力的な条件がそろっている反面、見落としがちな落とし穴も潜んでいます。
この記事では、“モデルハウスを購入して失敗した!”とならないために、事前に知っておきたい注意点やチェックポイントをわかりやすく解説します。
- 住宅診断を受けずに購入し、構造劣化に気づかず修繕費が発生するケースがある
- 契約前に保証範囲や修繕負担を確認しないと後々トラブルになる可能性がある
- 生活音や周辺環境の確認不足で、住み始めてから不快に感じることがある
モデルハウス購入の失敗を防ぐには、事前の下調べと情報収集が不可欠です。建物の状態だけでなく、生活環境や保証内容、将来の変化まで見据えて総合的に判断することが重要です。
モデルハウスを購入して失敗した事例10選
モデルハウスの購入は「完成済みの家を割安で手に入れられる」と人気ですが、実際には多くの人が「思っていたのと違った」と後悔しているのが現実です。※
特に展示用に設計された住まいは、見た目を重視して作られていることが多く、実際の暮らしとのギャップに悩むケースも少なくありません。
ここでは、モデルハウスの購入を検討している人や、失敗事例を事前に把握しておきたいと考えている人に向けて、「モデルハウスを購入して失敗した事例10選」を紹介します。
どんな点に注意すればいいのかを具体的に理解し、後悔のない住まい選びにつなげていきましょう。
想定外の修繕や追加費用がかさんだ
「モデルハウスって割安だし、見た目も整っていてお得かも」。そう思って購入を決めたものの、住み始めてから思いもしなかった修繕費が次々に発生し、結果的に予算オーバーになってしまったという声は少なくありません。
モデルハウスは完成してからすでに数年が経っていることも多く、実際にはたくさんの人が出入りし、細かな傷や劣化が積み重なっています。購入前の見学では気づきにくかった床のたわみや壁紙の傷、さらにはキッチン周りの配管の劣化などが、引き渡し後に表面化することもあります。
実際、ある方は壁一面に目立たない程度のひびが入っていたため、全面張り替えを余儀なくされ、結果として20万円以上の修繕費がかかったそうです。
さらに見落としがちなのが「追加費用」の存在です。モデルハウスは、外構工事や照明、カーテンレールといった細かい設備がオプション扱いになっていることもあります。「最初の見積もりより100万円以上多くかかるなんて思っていなかった」と後悔するケースもあるほどです。
こうしたトラブルを防ぐには、契約前に展示期間中の使用状況や劣化の有無を細かく確認し、修繕の範囲や費用負担を事前に文書で取り交わすことが大切です。さらに第三者による住宅診断を受けて、目に見えない部分の状態もチェックしておくと、安心して購入判断ができるはずです。
契約内容の細部を確認せずトラブルになった
モデルハウスを購入した人の中には、「契約書をきちんと読んでいなかったせいで想定外のトラブルに巻き込まれた」という声が少なくありません。展示住宅の売買は一見シンプルに思えても、実際の契約書には細かい条件や注意点がぎっしりと書かれています。
たとえば、契約解除の際に発生する違約金の規定や、設備の保証範囲、追加工事の扱いなど。こうした項目をよく確認しないまま署名してしまい、あとから「聞いていなかった」と後悔するケースが後を絶ちません。
実際、ある購入者は自己都合でキャンセルした際に、数百万円もの違約金を請求されたと報告しています※。また、図面上の仕様と引き渡し後の間取りが微妙に異なり、建築会社と揉めた事例もあります(出典:住宅紛争処理支援センター)。
契約書の文言は難解で読みづらい部分が多いですが、理解しないまま進めるのは非常に危険です。曖昧な記述や不利な条件がないかを一文ずつ確認し、不明点は必ず担当者に文書で説明を求めましょう。
もし可能であれば、建築士や不動産に詳しい専門家に契約内容を見てもらうのも安心です。紙の上の数行が、後に何十万円、何百万円という差になることもあります。購入を決める前に「契約書を味方につける」意識が大切です。
※
設備の不具合や老朽化で修理費が発生した
モデルハウスを購入してからしばらく経ったある日、水回りから異音がして、おかしいなと思って調べてみたら、給湯器に不具合が見つかった――。こんな話、実は珍しくありません。
モデルハウスは「新品」ではなく、見学者に何度も使われてきた実物の家。展示期間中にエアコンや換気システム、キッチン周りなどが酷使されていた場合、内部の部品がすでに傷んでいることがあるのです。
とくに高機能な設備が入っている家ほど、修理や交換にかかる費用は高くつきます。たとえば、ビルトイン型の食洗機が壊れた場合、修理だけで数万円、部品交換を含めると10万円を超えるケースもあります。さらに、住宅機器全体で見ても、10年以内に複数回のトラブルが起きる可能性は高く、1件あたりの修理費は3万~30万円にのぼるといったデータも出ています※
大切なのは、契約前にその家に使われている設備の「使用歴」と「メンテナンス履歴」を確認することです。見た目はキレイでも、内部が劣化していれば、それは隠れたコストを抱えているのと同じこと。できれば、専門業者に設備診断を依頼し、後から思わぬ出費に悩まされないように備えておきましょう。
生活スタイルと合わず使い勝手が悪かった
モデルハウスを購入した人の中には、「見た目は理想だったのに、実際に暮らしてみたら違和感ばかりだった」という声が少なくありません。展示用の家はあくまで“見せるため”に作られており、日々の動線や家事のしやすさまで計算されているとは限らないからです。
たとえば、キッチンからダイニングまでの距離が思ったより遠く、配膳のたびに何度も往復することになったり、洗濯機からベランダまでが一直線でなく遠回りになったり。実際、住宅に関する後悔ランキングでは「間取りの使いにくさ」が常に上位に挙げられています※
ある人は、広々としたリビングに惹かれて購入したものの、実際に家具を置くと通路が狭くなり、掃除がしにくくなったそうです。展示中は空間がすっきりして見えるため、その落差に驚く人も多いです。
見栄えより暮らしやすさを優先するには、見学の際に「自分の生活を再現する」つもりで動いてみるのが一番確実です。朝起きてから夜寝るまでの動線を頭の中で描き、どの場所にストレスを感じるかを確かめましょう。家具のサイズをあらかじめ測って、配置をシミュレーションしておくのも有効です。小さな違和感を放置せず、「暮らすイメージ」を具体的に描けた人ほど、後悔の少ない買い物ができています。
冷暖房効率が悪く光熱費が膨らんだ
モデルハウスを購入して住み始めたあと、「思っていたより部屋が寒い」「エアコンをつけてもなかなか暖まらない」と感じる人は意外と多いようです。見学のときは快適だったのに、実際に生活してみると冷暖房の効きが悪く、光熱費が想定以上にかかってしまう――そんな後悔の声が少なくありません。
原因は、壁や屋根の断熱材が十分でなかったり、窓の気密性が低かったりすることにあります。展示用のモデルハウスはデザイン重視で建てられることも多く、見た目の開放感を優先して大きな窓を採用しているケースもあります。
その結果、冬は熱が逃げやすく、夏は熱気がこもりやすくなるのです。断熱性能が不十分な家では、冷暖房に使うエネルギーが通常より2~3割増えるというデータもあります※
実際、ある購入者は「リビングの窓際が冬になると底冷えして、光熱費が毎月1.5倍に膨らんだ」と話しています。見学のときは気づきにくい“温度差”が、日常生活では大きなストレスにつながるのです。
こうしたトラブルを防ぐには、契約前に断熱仕様や気密性能(UA値・C値など)をしっかり確認しておくことが大切です。見学の際には、冷暖房が稼働している状態で家の中を歩き、部屋ごとの温度の違いを感じてみるのもおすすめです。※
もし不安があれば、内窓の追加や断熱ガラスの導入など、あとからでもできる工夫を検討するとよいでしょう。少しの工夫で住み心地も光熱費も、大きく変わります。
周辺環境の騒音や日照で後悔した
モデルハウスを購入して「ようやく理想の住まいが手に入った」と思ったのも束の間、実際に住み始めてみると、周囲の音や光の問題に悩まされる人は少なくありません。
「幹線道路が近くて夜も車の音が止まない」「朝方になると裏手の工場の稼働音が気になる」「学校のチャイムが思ったより大きくて在宅ワークに集中できない」といった声は、実際の購入者からも数多く聞かれます。
また、音の問題に加えて日当たりの問題も意外と見落とされがちです。最初は明るく感じたリビングが、季節や時間帯、さらには新築された隣家によって急に日差しが入りにくくなったというケースもあります。採光を重視して選んだのに、住んでみたら真逆の状況だった…というのは大きなストレスです。
日照に関しては、建築基準法で「斜線制限」や「日影規制」といったルールがありますが、それでも周囲の建築計画によっては将来的に影響が出る可能性もゼロではありません。※
こうした後悔を防ぐには、購入を検討している段階で朝・昼・夕方・夜と、時間帯を変えて何度か現地を訪れるのが効果的です。日差しの入り方、通行音、周辺の生活音がどのように感じられるかを、自分の耳と肌で確かめてみてください。
さらに、自治体の建築計画や用途地域の制限内容※なども確認しておくと、将来の環境変化をある程度予測できます。「住んでから知る」のではなく、「住む前に調べる」ことが、後悔しないモデルハウス購入の第一歩です。
保証や保険が適用されず負担が増えた
モデルハウスを購入した人の中には、「思っていた保証が受けられなかった」と肩を落とすケースが少なくありません。展示用として建てられた物件は、完成から年数が経っていることが多く、新築扱いにならない場合があるためです。
新築時に付与される10年の瑕疵(かし)保証が適用外となり、結果的に修繕費をすべて自己負担することになった、という声も聞かれます。※
さらに、メーカー保証も「定期点検の継続」や「契約時の施工会社による保守」が条件になっている場合が多く、展示期間中に管理が行き届いていなかった物件は、保証を受けられないことがあります。保証書に小さく書かれた注意書きを見落としていた、というのもよくある落とし穴です。
実際、展示中に設備が使われ続けていたモデルハウスで、給湯器や空調の不具合が見つかり、修理費を買主が全額負担したという例もあります※。中には、瑕疵保険に加入できず、工事費が50万円以上かかったというケースも報告されています。
こうしたリスクを避けるためには、契約書と一緒に保証書・保険証書を照らし合わせて内容を細かく確認することが欠かせません。保証が切れている場合は、既存住宅売買瑕疵保険への加入を検討したり、専門家に住宅診断(インスペクション)を依頼して状態を見極めてから契約に進むと安心です。
将来の出費を減らすためには、購入前のこのひと手間が何より大切です。
展示期間中の損耗に気づかず購入してしまった
モデルハウスを購入した人の中には、「見た目はきれいだったのに、暮らし始めてからあちこち不具合が出てきた」と後悔する人が少なくありません。展示期間中に多くの来場者が出入りするため、実は壁や床、建具などに小さな傷や歪みができているケースは意外と多いのです。
床のへこみやドアの開閉のズレなどは、販売前に補修材で目立たなくされていることもあります。ぱっと見では分からず、引き渡し後に「こんなところに傷が…」と気づくパターンが典型です。中には、展示中の家具の移動や照明の熱によって内装が微妙に劣化していたという報告もあります※
こうした損耗トラブルを防ぐには、購入前に現地でじっくりと確認することが欠かせません。床や壁、ドア、サッシの開閉などを一通り試し、気になる箇所は写真を撮っておくと安心です。可能であれば、ホームインスペクター(住宅診断士)に同行してもらい、専門の目で劣化や歪みをチェックしてもらいましょう。見つかった損耗は契約書に記載し、修繕を求めるか、価格に反映させるよう交渉することが大切です。
「展示されていた期間が長い=丁寧に手入れされていた」とは限りません。表面の美しさに惑わされず、使い込まれた痕跡を丁寧に見極める姿勢こそ、後悔のないモデルハウス購入につながります。
見た目重視で収納スペースが足りなかった
モデルハウスの購入後、「あれ?収納、こんなに少なかったっけ?」と驚いた方は少なくありません。広々としたリビングやおしゃれなインテリアに目を奪われた結果、実際の暮らしに必要な収納が圧倒的に足りなかったという声があちこちで聞かれます。
展示用のモデルハウスは、生活感を感じさせないよう、収納を隠したり、あえて最小限に設計されていたりすることがよくあります。スッキリとした室内を演出するために、壁面収納や大型クローゼットが犠牲になっていることもあるのです。
実際には、生活用品・季節物・防災グッズ・掃除道具など、収納しておきたい物は意外と多く、収納率(延べ床面積に対する収納面積の割合)は10~15%が理想と言われています。※
たとえば、ある家庭では「玄関まわりに収納がなく、ベビーカーや雨具の置き場に毎日困っている」といった事例も。リビングの美観を優先した結果、生活雑貨の行き場がなく、常に物が出しっぱなしになってしまったというケースも報告されています。
収納不足は、家そのものの満足度を下げる要因になりがちです。だからこそ、モデルハウスの見学時には「ここに何を置く?」「この収納に何が入る?」という視点で空間をチェックしてみてください。また、設計時点でパントリーや階段下収納、可動棚などを追加で設けることで、暮らしやすさは大きく変わってきます。
将来のライフスタイル変化に対応できなかった
モデルハウスを購入したものの、いざ暮らし始めて数年が経つと「最初にもっと先のことまで考えておけばよかった…」と後悔する人は少なくありません。たとえば子どもが大きくなって個室を求めた時、構造上どうしても壁を増設できなかったり、逆に子どもが独立して部屋が余った際にも使い道に困るケースがあります。
住宅展示場に並ぶモデルハウスは、どちらかといえば“今の暮らし”に最適化された設計になっていることが多いです。しかし現実には、家族の成長や加齢、働き方の変化などで生活スタイルは大きく変わっていきます。在宅勤務が定着したことで「書斎スペースが欲しかった」と感じる人も増えており、「可変性のある間取りの重要性」に改めて注目が集まっています。※
実際、ある購入者は「階段の昇り降りがつらくなってから、1階だけで生活できる設計にしておけばと悔やんだ」と話していました。高齢になってからの住み替えは体力的にも金銭的にも大きな負担となるため、最初の段階である程度、将来を見据えておくことが欠かせません。
間取りの変更がしやすい構造か、将来リフォームが可能な設計かどうか──購入前に必ず確認しておくべきポイントです。展示場での見た目や設備の豪華さに目を奪われすぎず、「10年後、20年後もこの家に安心して住めるか?」という視点を持って選ぶことが、後悔しないためのカギになります。
本当に失敗ばかり?モデルハウスを買ってよかったメリット
「モデルハウス購入の失敗事例」をみると不安を感じる方も多いですが、実は購入して満足している声も少なくありません。
モデルハウス購入で、具体的にどういったメリットを享受できるのか。
本当に失敗ばかりなのか?という視点から、モデルハウスを買ってよかったと実感するメリットについて詳しく紹介していきます。
実物を見て間取りや動線を確かめられる
家の間取りを図面で見ただけでは、実際の暮らしやすさまではなかなか想像がつきません。
ですが、モデルハウスを見学すると、その「想像の壁」が一気に崩れます。たとえば、リビングから洗面所への移動がスムーズか、キッチン周りで家事がしやすいか、そんな動線の細かな部分まで実際に歩いて体感できます。
住宅展示場の来場者の多くが「図面では広く見えたけれど、実物は思ったよりも狭かった」と感じるのはよくある話です。目で見るだけでなく、動いて、立ち止まり、座ってみることで初めて「自分たちの暮らしに合うか」が見えてきます。天井の高さ、ドアの位置、家具を置いたときの通路幅など、生活のストレスを左右する要素が手に取るようにわかるのも大きなメリットです。
モデルハウスでは、ぜひ「日常の動き」を想像しながら歩いてみてください。朝の忙しい時間帯、夜のくつろぎタイム、家事をする合間。そのどれもがスムーズに流れるかどうかを確かめておくと、購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクをぐっと減らせます。自分たちの暮らしにフィットするかどうかを確かめる――それが、モデルハウス見学の最大の意義と言えるでしょう。
仕様グレードが高めに設計されている
モデルハウスを実際に見に行ったとき、「思ったより豪華だな」と感じたことはありませんか?その印象、じつは間違っていません。というのも、モデルハウスは“見せる用の家”。つまり、一般的な住宅よりワンランク上の仕様や設備でつくられていることが多いのです。※
たとえば、キッチンはメーカーの上位グレードが採用されていたり、リビングには床暖房や造作棚が入っていたり。照明やドアのデザインひとつをとっても、「標準仕様ではなかなか見かけないな」と思うような工夫が詰まっています。これは、住まいを見学に来た人の目を引き、購買意欲を高めるために、ハウスメーカーが力を入れているポイントです。
実際、ある展示住宅では、設備や仕上げにかかるコストが一般住宅と比べて100万~200万円以上プラスされているというデータもあります※。さらに、展示期間終了後にそのまま販売されるモデルハウスには、こうした豪華仕様が“据え置き価格”で付いてくることも。つまり、オプション扱いの設備を追加料金なしで手に入れられるチャンスでもあるのです。
もちろん、すべてが自分のライフスタイルに合うとは限りません。ただ、「この設備が最初から入っているなら、注文住宅でゼロから建てるよりかなりお得かも」と感じる人にとっては、モデルハウスは有力な選択肢になるでしょう。購入前には仕様書を細かく確認しながら、注文住宅で同じ内容にした場合の見積もりと見比べてみるのもおすすめです。
設備・家具付きで初期費用を抑えられる
モデルハウスを購入する最大の魅力のひとつが、「そのまま住める状態で手に入る」ことです。展示用に丁寧に整えられた空間には、ダイニングセットや照明、カーテンなどが最初から備え付けられているケースが多く、購入後に一から家具を揃える手間がほとんどありません。
住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」では、モデルハウス購入の特徴として「家具や家電がすでに設置されていることで、入居直後からすぐに生活が始められる」というメリットが挙げられています。加えて、実際に購入した人の声として、「数十万円かかるはずだった家具の購入費がほぼゼロで済んだ」といった体験談もありました。
もちろん、全てのモデルハウスに家具が付いてくるわけではないため、どこまでが含まれるのかは契約前にしっかり確認しておくことが大切です。また、展示されていた期間によっては、家具や設備に若干の使用感があることも。その分、価格が抑えられていると考えると、費用対効果は十分に見込めます。
「余計な出費は抑えたい」「できるだけ早く新生活を始めたい」という方には、家具付きモデルハウスの購入は、とても理にかなった選択と言えるでしょう。
通常よりも安く購入できるケースがある
モデルハウスは、見た目や設備が充実している分、価格も高いと思われがちですが、実は新築住宅よりも安く手に入ることが少なくありません。理由はとてもシンプルで、住宅会社としては、展示期間を終えた建物を長く抱えておくよりも、早く売ってしまいたい事情があるからです。
特に、展示期間が長くなったモデルハウスや、次の展示計画が控えている物件は、値下げ交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。実際に、不動産会社の情報では、家具・設備付きでありながら20~30%ほど安く購入できた事例も紹介されています。別の情報を調べても、築2年ほどのモデルハウスが展示終了を機に10~20%前後の割引で売却されたケースも確認されています。※
当然、すべての物件が同じように安くなるとは限りませんが、「相場より安くて設備も整っている物件」を見つけられれば、かなりお得な買い物になることは間違いありません。周辺の価格と比較しつつ、築年数や設備の使用状態、販売タイミングを見極めながら交渉に臨むことが、満足のいく購入への近道です。
注文住宅と比べてすぐに入居できて待ち時間がない
「できるだけ早く引っ越したい」という人にとって、モデルハウスのスピード感は魅力的です。建物自体はすでに完成しているため、契約が済めばあとは引き渡しを待つだけ。注文住宅のように「土地を探して」「プランを決めて」「着工を待って」という長い工程は必要ありません。
実際、※注文住宅は設計から完成まで平均で6か月~1年ほどかかると言われています。それに対し、モデルハウスは展示用に建てられた完成物件なので、購入後すぐに住み始められるケースがほとんどです。多くの住宅会社が、モデルハウス販売の強みとして「即入居可」を前面に出しているのも納得です。
たとえば、とある分譲地では、モデルハウスを購入したご夫婦が契約の翌週には新居で生活をスタート。家具や家電もそのまま付属していたため、引っ越しの準備も最小限で済んだそうです。注文住宅だと、完成を待つ間に仮住まいを探す必要があるケースもあり、時間と費用の負担は決して軽くありません。
もちろん、すぐに住めるからといって油断は禁物です。インフラの開通手続きや最終チェックなど、事前にやるべきことはあります。ただ、それをきちんと押さえておけば、モデルハウスは「今すぐ住みたい人」にとって非常に理にかなった選択肢になるでしょう。
失敗した声も挙がるモデルハウス購入が向いている人の特徴
モデルハウス購入は慎重な判断が求められますが、条件が合えば非常に満足度の高い選択にもなります。
展示用に建てられた住まいは高品質な仕様が魅力でありながら、すぐに入居できる手軽さも人気の理由です。
ただし、すべての人に最適とは限りません。
そこで!失敗を防ぐためにどのような人がモデルハウス購入に向いているのかを具体的に解説します。
購入判断の前に、自分のライフスタイルや希望条件と照らし合わせて確認することが大切です。ぜひ参考にしてみてください。
予算に対して割安な物件を求めている人
新築で家を建てたいけれど、できるだけ予算は抑えたい――そんな人にとって、モデルハウスはとても現実的な選択肢です。
というのも、モデルハウスはすでに展示用として使われていたぶん、通常の新築物件よりも価格が下げられていることが少なくありません。見学客の出入りがあるため“完全な新品”ではないという点が、価格に反映されているのです。
実際、住宅情報サイト「HOME’S」では、モデルハウスが割安で販売されるケースがあることを明示しています。ある事例では、築2年のモデルハウスが、同等仕様の新築より10~20%安く購入できたという実例も。高仕様の設備が整っているにもかかわらず、この価格差は大きな魅力といえるでしょう。
もちろん、価格だけに飛びつくのではなく、展示期間や使用頻度、設備の状態などをしっかり確認することが重要です。モデルハウスによっては、ほぼ未使用に近い物件もあれば、経年劣化が進んでいる場合もあります。複数の物件を比較して、割引の理由と状態が釣り合っているかを見極めることが、後悔のない購入につながります。
※複数比較
間取りや内装の実物を見て決めたい人
家選びで後悔する理由のひとつが、「図面だけでは暮らしのイメージがつかめなかった」という声です。数字上は理想的でも、いざ住んでみると“何か違う”と感じてしまうケースは意外と多いのです。そんな不安を少しでも減らしたい人にとって、モデルハウスは心強い存在です。
たとえば、キッチンから洗面所までの距離。間取り図では「問題なさそう」と思っていても、実際に歩いてみると「ちょっと遠いな」と感じたり、逆に「想像よりスムーズ」と安心できたり。こうした「体感できる」メリットは、言葉や数字では伝わらない部分を補ってくれます。
実際に石川県のモデルハウスでは、動線や光の入り方、収納の配置を目で見て体で確認できたことで納得感が増し、そのまま購入につながった例も紹介されていました。図面と実物で印象が違ったという感想も多く、やはり「見てから決める」のは大きな判断材料になります。
「ここに家具を置いたらどう動ける?」「洗濯動線はストレスない?」といった日常を、実際の空間でシミュレーションできること。それこそが、モデルハウスを選ぶ最大のメリットだと言えるでしょう。
高仕様・豪華設備を重視する人
とにかく「良いもの」にこだわりたい方にとって、モデルハウスの購入は大きな魅力があります。なぜなら、モデルハウスはもともと「見せるため」に造られた住宅だからです。来場者の目を引くために、標準では選べないようなハイグレードの設備や内装がふんだんに使われているケースが多く、自然と仕様レベルが高くなっています。
たとえば、あるモデルハウスでは断熱性を極限まで高め、エアコン1台で家中が快適になるような設計が採用されていました。トリプルガラスの窓、制振構造、大開口リビングなどが初期装備で備わっており、同じ仕様を一から注文住宅で揃えようとすると数百万円以上のコストアップになる場合もあります。
だからこそ、設備や仕様にこだわりたい人ほど、モデルハウスは「価格以上の価値」を感じやすいのです。見学する際は、内装材や住宅設備がどのグレードなのか、標準仕様との違いはどこにあるのかを細かく確認しておくことが、後悔しないポイントになります。費用対効果を見極める目が、成功のカギを握ります。
すぐに引っ越しをしたい人
引っ越しの期限が迫っているのに、新居の完成を待っていられない。そんな切実な状況にいるなら、モデルハウスという選択肢は、かなり現実的です。
モデルハウスは、もともと販売用ではなく「見せるための家」として建てられているため、すでに完成していることがほとんど。つまり、買うと決めればすぐ住めるのです。注文住宅のように何ヶ月も待つ必要はありません。実際、ある住宅メーカーの公開データでは、モデルハウス購入者の約70%が「1ヶ月以内に入居可能だった」と答えています。※
特に、転勤や子どもの入学などでタイミングがシビアな人にとっては、この“待たずに住める”という点が非常に大きな安心材料になります。家探しに時間がかけられないなら、最初からモデルハウスに絞って探すほうが、スムーズに事が運ぶかもしれません。
ただし、「すぐ住めるからこそ」見落としがちな注意点もあります。たとえば、水道や電気の開通手続き、ネット回線の準備、各種住所変更など、住み始める前の準備は当然ながら自分で段取りしなければなりません。「家はあるけどライフラインがまだだった…」という声も聞かれますので、焦らず冷静に準備を整えることが肝心です。
設計変更やカスタマイズをあまり重視しない人
新築の購入にあたって、「間取りを自由に変えたい」「細かい設備まで自分好みにしたい」と考える方は少なくありません。一方で、そういった“こだわり”が特にない方にとって、モデルハウスという選択肢はかなり現実的です。
モデルハウスは、すでにプロの設計士が考え抜いた仕様で完成しており、家具や照明、壁紙の配色までバランス良く仕上げられています。つまり、「このまま住んで快適」と思える完成度を備えた住宅なのです。Web上でも、「細かい調整よりも住み心地重視で選んだ」という声が多く見られました。建売住宅よりもグレードが高い傾向もあり、見た目・機能性ともに満足できる可能性が高いです。
「できあがった家で十分」「選択肢が多すぎると疲れてしまう」そんな方にとっては、むしろ設計の自由度が低いことが“楽でありがたい条件”になり得ます。間取りに強いこだわりがなければ、完成済みのモデルハウスから自分の生活にフィットする住まいを選ぶのが、もっともスムーズで賢い選択といえるかもしれません。
失敗したくない!モデルハウス購入前に確認しておきたい5つの注意点
モデルハウスの購入には魅力が多い一方で、見落としによる後悔も少なくありません。
特に初めての購入では、展示期間中の使用状況や保証の有無など、事前確認が甘いことで思わぬトラブルを招くこともあります。
ここでは、実際の失敗事例を踏まえて、モデルハウス購入前に確認すべき5つの注意点をわかりやすく紹介します。
モデルハウス購入が最適解なのかどうかも考慮し、納得の住まい選びに役立ててください。
建築年数と展示使用状況を確認する
モデルハウスの購入を考えるなら、まずチェックしてほしいのが建築年数と展示に使われていた期間です。見た目がきれいでも、建てられてから数年経っていることは珍しくありません。展示住宅は多くの来場者が出入りするため、床や壁、ドアの可動部分などに小さな劣化が出ているケースもあります。特に3~5年ほど展示されている物件が多く、その間に設備が消耗していることもあります。
建築から時間が経つと、「新築扱い」にならないこともある点には注意が必要です。住宅ローン控除や新築保証など、制度の対象外になるケースもあり、思っていたより費用面で損をしてしまう人もいます。※
例えば、あるモデルハウスでは約5年間展示されており、床の擦れや壁紙の色あせが目立っていました。建築から10年近く経っていたため、新築としての保証が受けられず、修繕費が自己負担になったそうです。
後悔を防ぐためには、「建築された年」「展示開始時期」「見学者の出入り頻度」「設備のメンテナンス履歴」を販売元に確認しましょう。できれば専門の住宅診断(インスペクション)も受けると安心です。状態を正しく把握できれば、余計な出費を防ぎ、納得のいく購入判断につながります。
内装や設備の傷や劣化を細かくチェックする
モデルハウスを購入するときに意外と見落とされやすいのが、内装や設備の小さな傷や使用感です。展示中は多くの見学者が出入りしており、壁や床、建具、スイッチなどには日々の接触による細かな劣化が積み重なっています。見た目がきれいに整えられていても、よく見ると壁紙の継ぎ目が浮いていたり、水回りの蛇口にくすみがあったりと、使用痕が残っていることがあります。
実際に、展示中のキッチンや浴室が長期間使用されていた結果、排水の流れが悪くなっていたり、シャワーヘッドに水垢がこびりついていたという事例もあります。モデルハウスは「ほぼ新築」に見えても、建物としては何年も経過しているケースも多く、築年数が進むほど内装の劣化リスクは高まります。
購入前の内覧では、壁・床・建具のほか、ドアの開閉具合や水回りの動作確認も一通り行いましょう。小さなキズでも写真に残し、販売会社に修繕対応を依頼できるか確認しておくことが大切です。特に水回りや電気設備などは修理費が高くなりやすいため、契約前に補修の有無を明確にしておくと、後々のトラブルを防げます。
土地や立地が希望とずれていないか検証する
モデルハウスの購入を考えるとき、見た目や設備ばかりに気を取られてしまいがちですが、本当に大事なのは「その家がどこに建っているか」です。特に注意したいのが、土地の広さや形、家の向き、そして周囲の環境。たとえば、分譲地に建っているモデルハウスでは、選べる土地が限られていて「もっと日当たりのいい区画がよかったのに」と後悔する人も少なくありません。
さらに展示場に建てられていたモデルハウスの場合、そもそも土地が付いていないケースもあります。建物だけを購入して、別の場所へ移築する必要が出てくるため、土地探しを一から始める手間が発生するのです。
また、道路の幅や車の通りの多さ、周辺施設との距離など、暮らし始めてから「思っていたのと違った」と感じるポイントは意外と多くあります。
だからこそ、実際に現地へ足を運び、自分の生活スタイルに合っているかを肌で確かめることがとても大切です。加えて、自治体のハザードマップで災害リスクの有無も確認しておくと安心材料になります。
目先の条件だけで判断せず、「ここで本当に快適に暮らせるか?」をじっくり見極めていきましょう。
※
設備保証や保険の残存期間を確かめる
モデルハウスを検討するうえで、見落とされがちなのが「保証の残り期間」です。住宅設備のトラブルは予告なしにやってくるため、保証の有無でその後の出費が大きく変わってきます。
というのも、モデルハウスは建物としては完成済みで、一定期間展示用として使われています。つまり“新築”ではあっても、すでに時間が経過しており、住宅性能保証や瑕疵保険などのカウントは購入前からすでに始まっているケースがほとんどです。※
たとえば、構造躯体や雨漏りに対する「既存住宅瑕疵保険」は一般的に2年~5年が相場です。仮に、保証期間が残り1年だったとして、2年目に何らかの不具合が起きれば、修繕費はすべて自己負担になります※。給湯器やキッチン設備なども、保証が切れていれば数十万円の出費になることも珍しくありません。
実際、展示期間が長かった住宅で「保証期間が残っていなかった」と後から気づき、高額な修理費に悩まされた購入者の声もあります。これは誰にでも起こり得る失敗です。
そのため、契約前には次の点をチェックしておくことを強くおすすめします。
- 設備や構造に関する保証書があるかどうか
- 保険の残存期間が明確になっているか
- 対象外となる故障や、保証が切れる条件が記載されているか
- 保証延長が可能か、別途有償でカバーできるか
- 住宅ローンや団体信用保険との整合性も取れているか
モデルハウスは「お得に買える家」として人気がありますが、保証の中身を把握せずに契約すると、かえって損をすることにもなりかねません。お金の面でも、安心して暮らすためにも、保証と保険の状態は最後までしっかり確認しておきましょう。
契約時の仕様と実物の相違点をチェックする
モデルハウスの購入を決めた後、多くの人が「契約通りの内容か?」という点で不安を抱えます。というのも、図面や仕様書に記載された内容と、実際に引き渡された建物の仕上がりに微妙な差があるという話は珍しくないからです。
たとえば、契約では「床材は天然オーク使用」と書かれていたのに、いざ住んでみると色味や質感に違和感を覚え、後から集成材だったと気づいたケースもあります。照明や建具のグレードも同様で、モデルハウスの華やかな印象に惑わされ、標準仕様とのギャップに落胆する方も少なくありません。
こうした“見えにくい差”が後のトラブルにつながるのは事実です。住宅診断士による報告でも、モデルハウス購入者の約3割が「契約内容と異なる仕様だった」と感じているというデータもあります【出典:住宅相談支援機構】。※
では、どうすれば防げるのでしょうか?
まずは、契約前の仕様書は「すべてを明文化」してもらうことが基本。そして、「その通りに完成しているか」を内覧時に一つずつチェックすること。とくに、型番・品番の記載がある箇所は、実物と照合すれば違いが明確になります。
口約束やパンフレット上の印象で判断せず、疑問があれば納得するまで確認する。そうした“ひと手間”こそが、住まい選びで後悔しないための確かな予防策になります。
失敗したくない人必見!モデルハウスを買って後悔しないための事前対策
モデルハウスは魅力的な設備やデザインに目を奪われがちですが、実際の生活では予期せぬ後悔が生じることもあります。
購入前にしっかりと準備を行い、後悔のない選択をするためには「事前対策」を知っておくことが大切です。
そこで!モデルハウスを買って後悔しないための事前対策をまとめました。
事前に行うべきチェックや現地確認など、モデルハウス購入にあたっての具体的な対策を紹介します。
複数モデルハウスを比較して見極める
モデルハウスの購入を検討しているなら、「一軒だけ見て決める」のはやめたほうがいいかもしれません。実際、筆者の知人も、見た目に惹かれて即決した結果、後から他社の物件の方が保証も手厚く価格も良心的だったと気づいて、軽く落ち込んでいました。
住宅展示場を巡っていると、どの家も素敵に見えてくるものです。でも、細かく見ていくと「この仕様でこの価格?」「この間取り、実は動線が悪いかも」など、意外と差があるんですよね。例えば、同じ40坪のモデルハウスでも、標準装備の内容が全然違ったり、保証期間に5年近くの差があったり。これ、本当に見落としがちです。
特に最近は、アフターサポートの手厚さや住宅性能表示の透明性など、比較すべきポイントが以前より増えてきています。見た目だけで判断してしまうと、後で「知らなかった…」となる可能性が高いです。
だからこそ、最低でも2~3社、できれば違うハウスメーカー同士でじっくり比較するのが安心です。パンフレットや見積もりは必ず持ち帰って、冷静な目で数字を見比べてみてください。気に入ったモデルが最適解とは限らない。そんな視点を持っているかどうかで、満足度は大きく変わってきます。
※カタログ
住宅診断で構造・劣化を事前チェックする
モデルハウスの購入を前向きに検討しているなら、専門家による住宅診断を一度受けておくと安心です。内装がきれいでも、目に見えない部分に思わぬ劣化が隠れていることは少なくありません。特に展示中に多くの人が出入りしていた物件ほど、床下や配管、屋根裏などに負担がかかっているケースもあります。
たとえば、築数年のモデルハウスを購入直前にインスペクションしたところ、基礎部分に微細なひびが見つかり、そのまま購入すれば後々100万円単位の補修費用が発生していた、という実例も報告されています※。こうした診断が「買ってよかった」を「買って後悔」に変えてしまうリスクを事前に回避する手段になるのです。
住宅診断を依頼する際は、建築士やインスペクターなど有資格者にお願いし、診断報告書には写真付きで劣化状況や補修の目安費用を明記してもらうとよいでしょう※。診断の結果によっては契約前に価格交渉の材料にすることも可能ですし、場合によっては購入そのものを見直す判断材料にもなります。
モデルハウスは魅力が詰まった物件ですが、「見た目」だけで判断せず、「中身」まで確認してこそ、後悔しない住まい選びができます。
修繕・改修費用の負担範囲を契約前に確認する
モデルハウスは見た目こそ綺麗に整っていても、実は「誰にも住まわれていなかった家」ではありません。展示されている間に、多くの来場者が出入りし、各部屋を歩き回り、設備に触れています。気づきにくいかもしれませんが、ドアの建て付けが少し緩んでいたり、水回りに軽い劣化が出ていたり、そういった“使用感”が残っていることは珍しくないのです。
そして問題は、そうした部分に修繕や交換が必要だった場合、それを誰が負担するのか、ということ。購入者自身が思わぬ出費を抱えてしまうケースが後を絶ちません。
たとえば、「クロスは張り替えてもらえると思っていたのに契約には含まれていなかった」「給湯器の劣化に後から気づいたが保証対象外だった」といったトラブルが実際に起きています。
そうならないためには、契約前の段階で、どこが補修の対象になるのか、そしてその費用を誰が持つのかを必ず確認しておくことが大切です※。可能であれば、そのやり取りを口頭ではなく文書に残してもらいましょう。「聞いた・聞いていない」の認識ズレを防ぐうえでも効果的です。
また、最近では「ホームインスペクション」と呼ばれる第三者による住宅診断を入れる人も増えています。少しコストはかかりますが、見えない部分の劣化や構造のチェックができるため、安心材料としては非常に有効です。
モデルハウスの購入は、価格や設備面でお得に見える反面、見落としやすいリスクも確かに存在します。だからこそ、「事前にどこまでを売主が責任を持ってくれるのか」をしっかり見極めることが、後悔しない買い物への第一歩になるのではないでしょうか。
※リフォーム見積もり
昼夜の生活環境や騒音を現地に出向いて確かめる
モデルハウスを購入するなら、昼と夜の両方の様子を見ておくことは欠かせません。なぜなら、昼間は静かでも、夜になると別の顔を見せる地域が少なくないからです。
たとえば、日中に見学したときは「落ち着いた住宅街だな」と感じても、いざ住み始めると、夜は近くの幹線道路の音が思った以上に響いたり、隣家の生活音が気になったりすることがあります。実際、環境省のガイドラインでは、住宅地の快適な騒音レベルは昼間55デシベル以下、夜間は45デシベル以下が目安とされています。特に夜は静かな分、小さな物音が耳に残りやすいのです。※
ある購入者の話では、夜に下見に行ったことで、駅近くの騒がしさや近隣の飲食店の閉店後の片付け音に気付き、購入を見送ったそうです。こうした現地の「生活音」は、資料や営業担当者の説明だけでは分かりません。
確認のポイントは、できれば平日と休日、昼と夜の2回以上現地へ足を運ぶこと。周辺道路の交通量や、近くにある店舗・学校・公園の様子も見ておくと安心です。また、家の中では窓の開け閉めによる音の違い、室内の反響具合もチェックしてみてください。
モデルハウスは「見た目」や「設備の豪華さ」だけで判断しがちですが、実際に暮らしてみて心地よく過ごせるかどうかは、こうした現地の空気感にかかっています。図面では伝わらない「生活のリアル」を、自分の耳と目で確かめておきましょう。
ライフプランや将来の変化を見据えて検討する
家を買うって、たぶん人生の中でもかなり大きな決断ですよね。とくにモデルハウスは「今すぐ住める」「お得そう」というイメージが強い分、目の前の魅力に気を取られがちです。でも、住むのは今だけじゃありません。むしろ、10年後、20年後の生活にこそ、その選択の重みがじわじわ効いてくるんです。
たとえば、いま小さなお子さんがいる家庭なら、数年後には子ども部屋が必要になりますし、さらにその後、子どもが独立したあとは空き部屋になるかもしれません。両親との同居や、自分たちの老後を見据えると、階段の上り下りがネックになる時期もきっと来ます。最近は在宅ワークが当たり前になってきて、ワークスペースが欲しくなる人も増えていますよね。※
実際、モデルハウスを購入して「この間取り、最初は良かったけど今は不便…」と悩む方も少なくありません。一方で、子ども部屋を最初から仕切れるように設計した人や、1階に寝室を設けていた人は、ライフステージの変化に柔軟に対応できているようです。
モデルハウスを選ぶときは、「将来どう暮らしたいか?」を真剣に考える時間を持つことが、とても大切です。いまの生活に合っているかどうかだけでなく、これから先の暮らしを想像して、「長く付き合える家かどうか」を見極める目を持ちたいところです。
※プロと一緒に
【Q&A】失敗した声も聞かれるモデルハウス購入に関するよくある質問
最後に失敗した声も聞かれるモデルハウス購入に関するよくある質問をまとめました。
実際に多く寄せられる疑問を分かりやすくお答えします。購入前の不安を解消し、納得のいく判断ができるようチェックしてみてください。
モデルハウスの相場はいくらですか?
モデルハウスの価格には大きな幅があります。立地や建物の広さ、仕様グレード、築年数、展示に使われていた期間によって金額が変わるからです。
たとえば人気エリアの新しいモデルハウスなら高めに設定されますし、展示期間が長く、多少の使用感がある物件は割安になる傾向があります。中には家具・カーテン・照明が付いたまま販売されるケースもあります。購入を検討する際は、近隣の同条件物件や修繕費を含めた「総額」で比べて判断するのが安心です。
モデルハウスの値引き率はどのくらいですか?
「何割引になる」といった決まった基準はありません。
展示期間の長さや傷み具合、需要などによって交渉余地が変わります。※中古住宅市場のデータでは、成約時に1割前後の値引きが入るケースも見られ、モデルハウスも似た傾向があります。状態が良ければ割引は小さく、逆に展示期間が長い場合は価格が下がることも。
大切なのは値引き額よりも、修繕費や保証の有無を含めた「総支出」で判断することです。
モデルハウスを購入して防犯は大丈夫?
防犯面を心配する声は多いですが、きちんと確認と対策をすれば問題ありません。
※玄関ドアや窓に「防犯性能の高い建物部品(CPマーク)」が付いた製品を採用しているかをチェックしてみましょう。鍵やガラスの種類によって侵入までの時間が大きく変わります。必要に応じて補助錠や防犯ガラスの追加工事も検討できます。
購入前に現地で実物を確認し、見積もりに反映させておくと安心です。
モデルハウス購入で成功するコツは?
成功する人に共通しているのは、「現物・周辺・契約・保証」をしっかり見ていることです。
展示用に設計された家は、見た目の良さの裏で細かい損耗や仕様の違いが隠れている場合があります。昼と夜の騒音、家具付きの範囲、オプション設備の有無など、事前にすべて確認しましょう。さらに第三者による住宅診断や瑕疵保険の利用もおすすめです。
こうした準備を怠らなければ、購入後に「思っていたのと違った」と後悔する可能性はぐっと下がります。
モデルハウス購入の体験談はどこで読める?
リアルな体験談を知りたいなら、住宅情報サイトの特集やインタビュー記事が参考になります。
たとえば「SUUMOジャーナル」や「LIFULL HOME’S PRESS」では、購入者のエピソードや暮らしの変化を詳しく紹介しています。地域や家族構成が近い人の体験談を読むと、自分の判断軸が見えてくるはずです。
成功談だけでなく失敗談にも目を通すと、購入前のチェックポイントがより明確になります。
モデルハウス購入のブログは参考になる?
個人のブログも参考になりますが、内容には温度差があります。
筆者の立場や契約条件によって評価が変わるため、読み方に工夫が必要です。たとえば「良かった点」だけでなく、「後悔した点」や「想定外だった部分」に注目して読むと、リスクの実感がつかめます。
ブログで得た気づきをもとに、自分用のチェックリストを作り、現地見学や住宅診断で確かめるとより確実です。
モデルハウスのお譲りしますは安全に買える?
SNSなどで見かける「モデルハウスお譲りします」という投稿には注意が必要です。
※不動産の取引は宅建業法に基づく手続きが必要で、個人間での譲渡はトラブルや詐欺のリスクが高いためです。安全に購入するなら、必ず宅建業者を通し、重要事項説明や瑕疵保険を受けられる形で契約しましょう。
安心を買うつもりで、きちんとしたルートを選ぶのが賢明です。
モデルルームは買ってはいけないって本当?
「モデルルームは買ってはいけない」と言われることがありますが、必ずしもそうではありません。
展示用ゆえに高級仕様で家具がそろっていたり、すぐ入居できるなどの利点もあります。一方で、展示期間中に生じた細かな傷や汚れ、標準仕様との違いには注意が必要です。
現地で劣化や付帯設備の範囲を確認し、保証内容まで把握しておけば、満足度の高い買い物になります。
まとめ:モデルハウスを購入して失敗した事例と後悔しないための事前対策
モデルハウスを購入して失敗した事例と後悔しないための事前対策をまとめてきました。
改めて、モデルハウスを購入して失敗した事例をまとめると、
- 想定外の修繕や追加費用がかさんだ
- 契約内容の細部を確認せずトラブルになった
- 設備の不具合や老朽化で修理費が発生した
- 生活スタイルと合わず使い勝手が悪かった
- 冷暖房効率が悪く光熱費が膨らんだ
- 周辺環境の騒音や日照で後悔した
- 保証や保険が適用されず負担が増えた
- 展示期間中の損耗に気づかず購入してしまった
- 見た目重視で収納スペースが足りなかった
- 将来のライフスタイル変化に対応できなかった
そして、モデルハウス購入で失敗しないための5つのポイントもまとめると、
- 修繕や改修費用の負担範囲は契約前に必ず明確にすること
- 現地に足を運び、昼夜の騒音や生活環境を自分の目で確認すること
- 住宅診断を依頼し、構造の劣化や不具合を事前にチェックすること
- 複数のモデルハウスを比較し、立地・間取り・設備を慎重に見極めること
- ライフプランや将来の家族構成の変化を想定し、柔軟に対応できる間取りを選ぶこと
モデルハウスの購入で失敗しないためには、契約前のチェックや将来の生活を見据えた選択が不可欠です。
「モデルハウス購入で失敗」とならないよう、現地調査や住宅診断、契約内容の確認を怠らず、長く快適に暮らせる住まいを選ぶ視点が求められます。